石堂空間

 映画「忍者ハットリくん」を観てきた。端っから期待していなかったが、期待以下の出来でうんざりだった。なんだよこれ、やる気ないじゃん。喧嘩売ってんのか、関係者猛省しろよ、ていうか香取宣伝しつこいんだよ、こんなつまらんもんを必死に宣伝すんな、自分には面白いものを見極める力がありませんって自己喧伝しているようなもんだぞ。
 何がひどいって、まあね、単純明快なストーリーは子供映画としては王道だからいいとして、演出・脚本含めてもうぐだぐだで推敲もなにもないリアル鬼ごっこ状態で、しつこく流される回想シーンや無駄なCGに顔アップばかりの構図に躍動感も緊張感もない。
 キャシャーンにはまだ監督の心意気ってものがあった。それが救いであり、腹立たしくもあった。だがニンニンには何もない。だらだらとテレビドラマと同じ感じで物語が進むし、ケンイチ演じるガキのあほ演技からは製作者側の不誠実ささえ読み取れてしまう。全編わざとらしい台詞しか出来ないガキをなんで選ぶ? わけわからん。田中麗奈も哀れ。決して演技で魅せるタイプの役者ではないが、映画中心にそれなりのキャリアを積み、それなりの演技を自然とこなせるようになっていると私は思っているが、だからこそせめて真面目に演じてほしかったが、いやこれは多分演じる必要がないのかもしれない。彼女は盲人という設定の役だったのだが、それ特有の挙措らしい挙措は特になく、台詞の多くがアップで撮られているので、演出側も役者に演技を必要としなかったのかもしれん、とりあえず台詞が言えりゃOKなんだろう。なんか悪意すら感じてしまうな。
 黒影との対決シーンのお粗末さときたらこっちが恥ずかしいよ。前半で世界を止めちゃった金縛りの術とか分身の術とか見せておきながら、肝心の山場となる対決ではただの刀の競り合いなんだよ。で、手裏剣投げ合って、最後は素手でもみ合い……バカだ。さらに「いい主を持ったな」という予想通りの台詞。絶対言うと誰もが思った台詞。ひねりがない分わかりやすい映画なんだろうけど、こんなんで面白いと思ってしまう子供が一番かわいそうだよ、貧しいぞ、おい。親はきっちりとフォローしろよな、こんなもんよりもっと面白い映画があることを教えてやれ。

 本サイトの更新状況だが、次は「おおきく振りかぶって」精読だよ。鋭意執筆中。