作品別感想にろびこ「ボーイ×ミーツ×ガール」を追加。
 さて、早速映画「奈緒子」を鑑賞してきたわけだが、以前のように漫画原作映画として紹介するほどの余韻を得られず。古厩監督……うーん、ちょっと残念。脚本というかドラマが弱すぎて、たすきを繋ぐ重みっていう映画の肝要となるエピソードがほとんど積み重ねられず、みんな原作みたいにユースケー!!と叫んでただけだった(一応選手同士の諍いなんかが描かれはするけど)。連載だと各話の前と後ろで毎回奈緒子のモノローグを挿入して物語を紡いでいくことが出来るが、映画だと彼女のモノローグで物語を引っ張れないのが痛い。脚本の段階でどうにかして欲しかったな…。別に原作と違う設定(雄介の兄が出てこないとか爺ちゃんが出てこないとか、黒田が県の予選のライバル高校のランナーとして登場するとか)でも構わないんだが、原作の味というかタイトルの重要性というかが損なわれているように感じた。そもそも話が繋がらない箇所がいくつかあって(練習を放棄した雄介と彼を追う奈緒子、奈緒子が帰宅すると練習中だった監督が先に帰宅してたり。奈緒子を雄介と併走させる展開に持ち込むための監督の「少し休む」、ここで死ぬんじゃないかと冷や冷やしたよ)、最後の駅伝で無理やり盛り上げて感動を誘うわけなんだが、その前に萎えちゃって冷めてしまった。監督…古厩監督ーーー!!
 役者がいい表情してたし(やっぱ上野樹里はすげぇや)、惜しいんだよな。そもそも冒頭の給水シーンが後半に全く生かされないのが物語的にどうよって感じなんだが。まあ、やればやったで平凡なシーンになるのがオチかもしれないけど、二人の感情のつながりをはっきりと描くんだったら、奈緒子も参加した中学時代の駅伝大会をベースに脚本をまとめるのもいい手だと思ったんだが。それなら兄も登場させられたし、奈緒子を見つめる兄と弟の違いが鮮明になって――ま、所詮は素人考えではあるが。ていうかね、安易な実況はほんとにやめて欲しい。あんなんで都合よく状況説明しないでよ。