私家版ロスト・ワールド

 「マンガ表現学入門」の感想文では手塚15,6歳の時と書いたけど、先日、本の山の中から引っ張り出して私家版ロスト・ワールドのあと書きを読むと、日米の関係が険悪になった頃に描いたとあり、となると、手塚少年12,3歳の頃ということになる。手塚は亡くなるまで3歳2歳生年をごまかしていたので、3年2年の誤差は当然か。
 で、竹内オサム氏がこだわっていた同一化技法、私家版にも普通にありましたよ、びっくりですよ。プロになる前に手塚は同一化技法を使っていたということでいいのかな。モンタージュ型の例に、「あれを見ろ」と叫んで次のコマで恐竜達が出てくる場面とか、冒頭でも男が物音に振り返って次のコマに壁に掛かった絵(次にその男は絵に向かって銃を撃ちまくるので、男が見たものであるのは間違いない)の場面とか。部分表示型もあった、手紙読むところで手紙のアップとか、数は少ないけど。身体消失型と言えなくもない描写もあった。
 あと書きからは当時出版された大城のぼる「火星探検」を意識していた節が読み取れ、その影響を受けたとみて間違いなさそうだけど、そこんとこどうなんですかね。