2006面白かった映画10本

 あけましておめでとです。
 2006年は50本くらい観たかな。2005年より減ったのが悔やまれる。観ようと思いつつ見逃した作品も多数。でも憤るほどの駄作にぶち当たることはなく、全てとは言えないけど、そこそこ楽しく鑑賞できた映画が多かった。
 以下に挙げる10本は、個人的に面白かったのはもちろん、みなさんにもそれなりにお薦めできる映画だ、ソフト化されてたら暇な時にでも観ていただければ幸い。超メジャー映画もあるけど。順位はとくにないっす。


シムソンズ
監督:佐藤祐市  プロデュース:森谷雄  製作総指揮:榊原信行
脚本:大野敏哉  音楽:佐藤直紀  主題歌:JUDY AND MARY
出演:加藤ローサ 藤井美菜 高橋真唯 星井七瀬 大泉洋 田中圭 丸山智己 徳井優 山本浩司 高田延彦 松重豊 森下愛子 夏八木勲
 カーリングに挑む女子高生を描いた青春映画。。キャラ設定からラストまで、もう安心して楽しめた映画だった、まさに王道。ひょんなことからカーリングをすることになった主人公と巻き込まれる仲間たち、優秀だけど周囲と馴染めない子とか、楽しかったり喧嘩したり。加藤ローサをはじめ主演四人の魅力爆発。わかっちゃいるけど感動してしまうお約束展開も、実話が下になっている、っていうのが感動を後押ししている。カーリングのルールもわかっちゃうぞ。


「ルート225」
監督:中村義洋  製作:佐々木史朗 石川富康 川島晴男
プロデューサー:佐藤美由紀  協力プロデューサー:荒井真理子
原作:藤野千夜『ルート225』  脚本:林民夫
撮影:小松高志  美術:林千奈  衣裳:宮本茉莉  編集:森下博昭  音楽:江藤直子
照明:松岡泰彦  録音:西岡正己  助監督:平林克理
出演:多部未華子 岩田力 石原裕太 崔洋一 梅沢昌代 石田えり 嶋田久作 小南千明 枚田菜々子 市川春樹 小笠原翼
 原作は文庫本の表紙を志村貴子が描いたってことで知ってた藤野千夜。実際に原作を読んだのは映画を観た後だったけど。でもまあ、なんといっても多部未華子だな。今年は「夜のピクニック」もあったけど、断然こっちが好き。映画の内容も奇妙というかなんと言うか、SFっぽいけど普通の日常を描く。傍から観ればマッチョが言うとおりエリ子はエリ子なんだけど、両親がいないパラレルワールドに来てしまった姉弟が元の世界に戻ろうといじらしくももがく描写が面白い。テレカとかダイオキシン8倍とか、小道具も重要なネタになってて。これもDVD化されてるんで是非是非観てくらはい。


「ゆれる」
 ここで触れてるんで省略。http://d.hatena.ne.jp/y-shirabyoushi/20060711
 いやしかし香川照之の演技だよなー。神懸ってた。この人の演技だけでも一見の価値あり。


時をかける少女
監督:細田守  原作:筒井康隆時をかける少女
脚本:奥寺佐渡子  美術監督:山本二三  音楽:吉田潔
キャラクターデザイン:貞本義行  制作:マッドハウス
声の出演:仲里依紗 石田卓也 板倉光隆 原沙知絵 谷村美月 垣内彩未 関戸優希
 映像を観ているだけでも楽しいってのがやっぱアニメだよな。で、この映画は話を置いといて、絵を見ているだけで、走っている真琴を観ているだけで充足できる。繰り返されるタイムリープも映画を何度も見返す楽しみになっている。早くソフト化しないかな。


紙屋悦子の青春
監督:黒木和雄  原作:松田正隆  脚本:黒木和雄 山田英樹
撮影:川上皓市  美術:安宅紀史  美術監督木村威夫  衣装デザイン:宮本茉莉
編集:奥原好幸  音楽:松村禎三  照明:尾下栄治  録音:久保田幸雄
出演:原田知世 永瀬正敏 松岡俊介 本上まなみ 小林薫
 黒木和雄監督の遺作。ぶっちゃけよく知らない監督。前の「父と暮らせば」も観てるけど。舞台作品の映像化だけど、ちゃんと映画映画してるんだよな。舞台ってどこ見るのも観客の勝手だけど、映画はちゃんと制御されているから、観客が求める絵と作り手が見せたい絵って時に齟齬が生じることもあるんだけど、これはそんなこと気にもならず、太平洋戦争末期の暗い世相の中にあっても、しっかり青春している悦子たちが切なくて、ところどころ笑っちゃう場面がありつつ松岡俊介の悲壮な決意を秘めた演技に痺れ、本上まなみの危うい演技がありつつ小林薫の軽妙な振る舞いに救われる。冒頭とラスト、病院の屋上の老夫婦(原田・永瀬)の会話が映画を引き締めてるなー。個人的に今年一番の映画。


フラガール
監督:李相日  脚本:李相日 羽原大介
撮影:山本英夫  美術:種田陽平  編集:今井剛  音楽:ジェイク・シマブクロ  照明:小野晃  録音:白取貢
出演:松雪泰子 蒼井優 豊川悦司 山崎静代 池津祥子 徳永えり 三宅弘城 寺島進 志賀勝 高橋克実 岸部一徳 吉本紀夫 富司純子
 今年一番泣かされた映画だな。もう反則だろっていうくらい泣かされた。たとえばさ、駅のホームでフラ踊るとこなんてわかってんだよ。あー、ここでフラで想いを伝えるな、ぜってー蒼井優が最初に踊り始めるな、で、みんな次々と上手くなった姿を先生に見せるに違いないって。まんまと嵌りましたよ、えー。紀美子と早苗の別れの場面だって、もうここしかねーだろってところで蒼井優が登場するし。そういう泣かせのつぼを容赦なく突きまくる映画だった。何気にしずちゃんも好演しててびっくり、単なる出オチかと思いきや、彼女にも泣かせ所が用意されてるんだから。紀美子の母親もさ、いずれ娘を応援するんだろってわかってんだよ、リヤカー引いて「ストーブ貸してくんちぇー」、でも泣くんだよなー。


ストロベリーショートケイクス
 これも詳細はこっちで。http://d.hatena.ne.jp/y-shirabyoushi/20061009
 魚喃マンガ描けよ。


「暗いところで待ち合わせ」
監督・脚本:天願大介  原作:乙一『暗いところで待ち合わせ』
撮影:古谷巧  美術:稲垣尚夫  編集:阿部亙英  音楽:めいなCo.  照明:今野健  録音:矢野正人
出演:田中麗奈 チェン・ボーリン 宮地真緒 井川遥 岸部一徳 佐藤浩市 佐野史郎 波岡一喜
 原作は知らない、すまん。で、映画の内容云々よりも、とにかく田中麗奈だよ。彼女の演技を観ているだけでいい映画を観た気分になれる。「がんばっていきまっしょい」から見てる役者だが、なんかもう本気出すとすげーな。いやまあいつも本気で演技してるんだろうけど、「ニンニン」の時に演じた盲目の女性役とは雲泥の差。これは監督の差なんだろうな。でも演出ではちょっと凡庸と言っては失礼だけど(例えば事件の真相が明るみになる場面なんかちょっと滑稽な印象が……)、これは前作の「AIKI」もいい映画なんだけどいまいち乗り切れねーなーっていう語りきれないところは私が教養不足なだけなんだが、こなれ過ぎてるっていうのかなー。しかしこの映画の田中麗奈は観て損しないはず。


鉄コン筋クリート
監督:マイケル・アリアス  アニメーション制作:STUDIO4℃
動画監督:梶谷睦子  演出:安藤裕章  原作:松本大洋鉄コン筋クリート
脚本:アンソニー・ワイントラーブ  美術監督木村真二  編集:武宮むつみ  音楽:Plaid
主題歌:ASIAN KUNG-FU GENERATION『或る街の群青』  CGI監督:坂本拓馬  キャラクターデザイン:西見祥示郎  サウンドデザイン:ミッチ・オシアス  作画監督:久保まさひこ 浦谷千恵  色彩設計:伊東美由樹  総作画監督西見祥示郎
声の出演:二宮和也 蒼井優 伊勢谷友介 宮藤官九郎 大森南朋 岡田義徳 森三中 納谷六朗 西村知道 麦人 田中泯 本木雅弘
 「時かけ」同様にこれも見ているだけでも十分に楽しめるアニメ映画だった、よく飛んでた。まだ公開中だけど。で、声もいいんだよー。まさか伊勢谷友介田中泯の棒読み演技が違和感ないとは。ていうか蒼井優は今年はほんとに役得だね。ハチクロのはぐにしろフラガールの紀美子にしろ虹の女神の盲目の妹にしろ、リリイシュシュから何年? おっさんは嬉しいよ。蛇が本木っていうのもびっくりしたよなー。よくよく聞けば(すでに2回鑑賞)本木なんだけど。私は熱心な松本大洋ファンではないけど、これは嬉しい映像化だった。また観てー。主題歌聴きまくり中。


硫黄島からの手紙
監督:クリント・イーストウッド  脚本:アイリス・ヤマシタ
撮影:トム・スターン  美術:ヘンリー・バムステッド ジェームズ・J・ムラカミ  衣装デザイン:デボラ・ホッパー  編集:ジョエル・コックス ゲイリー・D・ローチ  音楽:クリント・イーストウッド
出演:渡辺謙 二宮和也 伊原剛志 加瀬亮 松崎悠希 中村獅童 阪上伸正 渡辺広 尾崎英二郎 坂東工 山口貴史 安東生馬 裕木奈江
 最後まで圧倒された。実質の主人公は二宮演じた西郷だったけど、すげーな設定が。最後まで逃げて、一発も弾を撃たず、だからこそ最後の最後でシャベル振り回すところで……あーもー思い出すだけで感動。「ここはまだ日本か」「日本であります」うわー、言葉に出来ない。手榴弾の自害とか殺される捕虜とか。栗林中将は隣町出身なんだが、まあだからどうしたという話だけど、劇中で地元の子供たちが合唱するラジオ放送で場内が一瞬ざわついたね、地元の出かよって感じで。ごめん、私も知らなかったんだよ、地元出身って。映画館には謙さんのサインも飾ってあった。ちぇっ、地元で試写会だなんて考えもしなかったよ。でも、クリント・イーストウッドの映画だと私は「ミスティック・リバー」が大好きなんだけど、こう重いけど心地よい重さっていうと語弊があるけど、それと同じ感触があった。


 他にも今年はたくさんあったんだよ、ほんとに。無理に10本に絞り込むことはないけど、まあ自己満足だから。で、あとはタイトルだけ並べる、「ホテル・ルワンダ」「カミュなんて知らない」「転がれ!たま子」「イヌゴエ」「かもめ食堂」「君はまだ、無名だった。」「間宮兄弟」「花よりもなほ」「バッシング」「佐賀のがばいばあちゃん」「やわらかい生活」「デスノート 前編」「デスノート the Last name」「ラブ★コン」「恋する日曜日「太陽」紀子の食卓」「カポーティ」「虹の女神 Rainbow Song」「プラダを着た悪魔
 やっぱ映画は楽しいね。マンガ原作にこだわらず、今年は観たい映画を積極的に観に行こー。