横浜田植え球場

 「LA QUINTA CAMERA」、そうか、オノ氏ってイタリア人やイタリア語が好きなんだな。いい漫画なんだよ、46頁のルーカなんかいい場面だ。1コマ目の描写が特に。人間の描写は、キャラがデフォルメされすぎててわかりにくいけど、性格捉えてて台詞も繊細で、まったり読めるんだよ。日常が大好きなんだね、素朴の中にあるちょっとした安らぎや輝きみたいなの。劇的に盛り上げない。ナターレ(イタリア語でクリスマスのこと)の街中を歩くシャルロットとアルの二人、58頁1コマ目、狭い路地ってのがいいんだよね。ほら、テレビなんかでみたことない? 洗濯紐を窓から向かいの建物の窓に結んで服を干すっていうの。道の上に洗濯物干してある景色。狭いんだよ、向こうは。まあ、本の受け売りだけど。このコマもそんな感じに飾り物が路地の上を覆っている。で、そこを抜けると広場に出るわけだ。アルが栗買っているとこはおそらく広場を囲むアーケードみたいなところだろうね。広場の真ん中にはクリスマスツリーと。でも、はっきり描かない。地味を貫く、たとえば路地から広場の一部が見えはじめて巨大なツリーを目の前にしてシャルロット「ナターレの町っていいよねー」とかしない。イタリアの町並みなんて知ってて当然でしょっていう作者の声が聞こえないでもない。あー、でもいい漫画ですよ。なんだかんだいって、面白いですよ。