マンガの背景について

江口寿史が「花沢健吾」「浅野いにお」の背景を批判」
http://togetter.com/li/220910

マンガの背景論については、過去に何度か言及したことがあって、特に細かいことは下記のアドレスを参照してみておくれ。浅野いにおソラニン」を例にして写真を使った背景について考察している。5年以上前に書いたものだけど。
http://www.h2.dion.ne.jp/~hkm_yawa/hyougen/monogatari-18.html

さて、最近のいにお作品は読んでいないけど、2009年のマンガ・エロティクス・エフ58で浅野いにおが特集されていて、「ソラニン」が劇場公開されたときに、ちょっと浅野作品について考えようと思ってバックナンバーを調達していたのを思い出したので、本の山の中から探してきた。
で、なんでその雑誌を思い出したのかと言うと、写真を加工した背景を使うことについて浅野自ら言及しているからである。
冒頭では写真をどのようにして背景にしているのかを解説している。たとえば学校の教室の場合、「3DマイホームデザイナーPRO5」を使って、教室のような家を作成する。作成したら構図を決めて、画像をモノクロにし、輪郭抽出、2階調化、そこからペン入れで影などを緻密に入れていく。
外の景色の場合は、写真をスキャナで読み込んで上のような作業をしているようだ。
上のアドレス先の文章でも触れているが、外の景色の写真を使う場合は、どうしても影が問題になるので、そこをあらかじめ計算した写真を撮る必要があるのは言うまでもない。で、肝心なのはインタビュー内容である。冒頭で彼は、手描きがいい、と語っているのである。
「(前略)背景も写真加工をしたり、いろいろやってましたけど、最近は手描きが一番綺麗だっていうところに戻ってきてたんです。」
あるいは
「最初の「プンプン」の背景って、学校とかもほとんど手描きだったんです」
とも語る。
こうして写真加工と描き込みで絵の密度が恐ろしいほどに上がっていく。一度クオリティを上げると、なかなか下げられないというので、最近(2009年当時)は密度よりも綺麗に描く方向に傾いているという。
また、浅野は山本直樹とも対談し、そこでも画像ソフトを使った背景の作り方について語り合っている。興味がある人はバックナンバーとか探しておくれ。対談の方が興味深い。