いつもの光景・序盤大量失点燕

 ログがある程度たまるまでだらだらと書き連ねないとな。で、漫画だけど、
 ひぎちアサ「おおきく振りかぶって」についてもう少し書くと、はっきりした感想は2巻以降の展開次第なんだが、とにかく今のところ面白いんでOKてな感じかな。でもやっぱり投球フォームに関する薀蓄とその描写ってものをしっかり描いているのが嬉しいんだよ。作者がもとからの野球好きか・この作品のために勉強したのかってのは正直わからないけど、理論的に明らかになりつつある投球の基本動作ってものをきっちり踏まえているのだ。もちろんそこには漫画ゆえの説明描写が欠かせないわけで、定番化している投球動作の表現にどれだけの個性を付加できるかってのが今後の見所のひとつであろう。まあ面白さへの影響となるとほとんどないと思うけど。「おれはキャプテン」なんてその辺の薀蓄はまるっきり無視(中学生なのであえて下手な野球を描いているかもしれないが)、動作の表現は過去の野球漫画の模写どまり、いや、こっちはこっちで別の面白さあるから。(ちばあきおの時代(1970年代)はまだ投球フォームの解析は不十分で先人の経験論と作者自身の野球経験が野球描写を支えていたのかもしれない。これを変えたのは、やっぱり水島新司なんでしょうかね、いや、いい加減なんで信じないでほしいが、水島御大は野球経験なしに野球漫画描き始めたでしょ、だからそこの描写はプロ野球選手の写真に頼るしかないと思うのよ、かなり。そうすると必然的にフォームの描写ってものがプロ仕様になるわけ。プロってやっぱ基礎すげーから、動作の描写もプロみたくさまになっていくのよね。だから知らないうちに美しい(あるいは正しい)フォームの描き方を習得しちゃったんじゃないかと。アホみたいな憶測だけど。)
 で、具体的にみると、テニスのサーブを例に説明される「腕が回転する」って意味ね。「腕は内まわりにねじれて」とも言っている、感じとしてはこっちが理解しやすいと私は思う。これはリリース直後の写真を見れば明らかなんだ……探したけど適当なのがないんで、自分でやってみよう。パンチしてみて、ファイティングポーズからどっちの腕でもいいんで。そのときの手の甲の向き、最初の構えでは外側向いてるよね、そこからパンチすると自然と腕がねじれて手の甲が上を向く。これが「内まわりのねじれ」。実際に軽くジャプしてみると、このねじれがないと強いパンチが打てない。ためしに一から手の甲を上に向けて正面を突いてみよう、ちょっと違うでしょ。最初のほうが力の入ったパンチにならないかな、後者のほうは猫パンチみたいだし。最初のでさらに強く打つともっと内にねじれるんだよ、テニスのサーブも投球も同じ、ラケットにボールを当てた直後・ボールを指先から放った直後から、腕は慣性の法則によって内側にねじれるんである(意識してねじるんじゃないよ、そんなことすれば肘や肩壊すって。あくまでそれまでの投球動作の正当な通過点である。身体全体を使って完璧に動作がなされた場合は、内側のねじれは手の平を上にまで向けさせるほどの力になる。本にあるんだけど、転載する術(スキャンの類)が私にはないベ)。それを作者が知ってるってことは、当然そんな感じの描写になる、ていうか、なっている。192頁1コマ目・201頁2コマ目なんかわかりやすい内側へのねじれだ。他の描写についても、腕はまっすぐに振り下ろされたっという感じの動線・流線ではなく、ねじれたような感じっぽい。
 あと三橋ってキャラの特性。彼は制球力重視の練習をしてきた結果、肘の使い方・ステップの使い方・体重移動のバランスとかいろいろと習得しちゃったんだろうな。そのかわり全力投球が出来ないと。全力投球覚えると身体の開きがはやくなりがちになって、制球難に陥るからね。錘を持ってボール投げる場面は、ほんとにいい例だよ。両腕は繋がっている、立ってコップの水を飲む時に、つい空いた方の腕を腰に回しちゃうでしょ、あれは両腕が繋がっていることの証なのね。つまり左右対称なんだ。右腕を力強く振るには左腕の引きが大事って、なんか漫画の話じゃなくなってるし……今日はこの辺で。